恋愛成就の呪物のご供養

呪物(じゅぶつ)をご存知ですか?
簡単にいうと呪物とは、特別な霊力が宿ると信じられている物です。漫画やアニメ、ユーチューバーなどの影響で広く使われるようになったそうですね。

今日はそんな呪物と言われるものをお寺にお持ちになられた方のお話です。(相談者からの掲載条件で、匿名、一部内容をぼかしてあります)

恋愛成就の呪物と「呪」という文字の意味

先日、恋愛成就のお守りをお焚きあげご供養してほしいと相談がありました。

私はお寺や神社のお守りを想像していたのですが、彼女は20センチ四方のクッキー缶のような木箱をとりだし、

蓋を開けると中から赤い包帯のような布で巻きつけられた人形がでてきました。聞けば、藁人形を二つ重ねて包み込んでいるとのこと。

「好きな人との恋愛を叶えるために、霊能者と言われている方に結構なお金を払って

“呪物”を作ってもらいました。あとは言われた通りに呪文をとなえお願いをしていました。」

彼女は真剣な気持ちでその行為をしたそうです。ですが、その後まもなく体調を崩し、色々なトラブル立て続けに起こりました。「恋が叶うどころか、悪いことばかり続いてしまった」と辛くなり妙行寺に相談にこられたのです。

私が印象的に感じたのは、彼女は本気で願いを叶えようと思っていたことでした。


「呪」という文字に込められた二つの意味

「呪」という字には、実は二つの読み方と意味があります。

ひとつは「まじない」。

良い方向に導くために唱える言葉や行為のことです。古来より病気平癒や豊作祈願などに用いられ、願いを込めるものとして人々に親しまれてきました。

もうひとつは「のろい」。

人に害を与える意図を持つ行為を指します。恨みや嫉妬の感情と結びつき、相手を不幸にするという意味合いを持ちます。

同じ「呪」でも、光と闇の両面をあわせもっているのです。


恋を願う気持ちは純粋でも……

恋愛において「好きな人と結ばれたい」という気持ちは誰もが抱くものです。その願い自体は何も悪いものではありません。

しかし、もしその気持ちが「相手を自分の思い通りにしたい」という執着や、「どうしても手に入れたい」という強い欲に変わったとき、心の中に影が差し込みます。

その影は、知らず知らずのうちに「呪」の負の側面――“のろい”の力を呼び込んでしまうのかもしれません。

霊能者が作った“呪物”は、表面上は「恋愛成就のまじない」でした。けれども、その奥底には「相手を自分の思い通りにしたい」という強い執念が潜んでいたのではないかと思います。


なぜ悪いことが続くのか

「まじない」をする人が必ずしも不幸になるわけではありません。ただ、呪物や呪術に強く頼りすぎると、自分自身の心が乱れやすくなるのは確かです。

「うまくいかないのは、まだ呪いが足りないからだ」

「もっと強いまじないをしなくては」

そう思えば思うほど、不安や恐れが増し、自分の行動や判断を曇らせていきます。その結果、恋愛だけでなく、仕事や人間関係にも悪影響が広がるのです。

呪物を作った女性の心には、知らず知らずのうちに「必ず振り向かせなければ」という強い欲望があったのでしょう。その念は、相手を縛るだけでなく、自分の心も重くし、結果として悪い出来事を引き寄せてしまったのです。

心に影を抱いた状態の心は、同じ影の性質を持つ出来事を呼び寄せます。

・体の不調 → 気持ちの乱れが肉体に表れる

・人間関係の不和 → 負のエネルギーが相手との調和を壊す

・仕事の失敗 → 直感が鈍り、判断を誤らせる

このように、悪いことが連鎖するのは単なる偶然ではなく、心の状態が偏った結果なのです。

つまり“悪いことが続く”のは、外からの力ではなく、自分の心の偏りが現実を歪めている可能性が高いのです。


本当に大切な「恋愛成就」とは

恋愛成就とは、本来「自分と相手がともに幸せになる形で縁が結ばれること」だと思います。

もし相手の気持ちを無視して、自分だけが叶えたい願いを押し通したなら、それは「成就」ではなく「強制」になってしまいます。

大切なのは、まじないや呪物に頼ることではなく、相手を思いやる心、自分を磨こうとする努力です。

笑顔で接し、誠実に行動し、自分の魅力を育てていく――それこそが最良の「恋愛成就のおまじない」ではないでしょうか。


おわりに

相談に来られた女性は、妙行寺で一緒に呪物に対してご供養のお経をあげました。そして、呪物とは縁がなくなった状態になってもらって、新しい気持ちで日々を過ごされています。彼女は「とてもスッキリした。以前は、とても思い詰めていて今にして思うと少しおかしかった」と後日、感想を頂きました。

「呪」という字は、「まじない」とも「のろい」とも読みます。

つまり、同じ行為でも「人を幸せにする祈り」になるか、「人を縛る呪い」になるかは、その人の心次第なのです。

恋愛成就を願うなら、相手の自由を尊重し、相手の幸せを願う心を持つこと。そうすれば、たとえ思い通りの形で結ばれなくても、自分自身の心は必ず成長し、より良い未来へ導かれるでしょう。

だからこそ、安易に呪物や呪術に頼るのではなく、まずは自分自身を磨き、素直な気持ちで相手と向き合うことが大切だと思います。


恋愛成就は「呪い」ではなく「祈り」で叶えるもの。どうか皆さんも、心に光を灯すまじないを選んでください。